塗料の値上げが止まりません。しかも今回の値上げは一度きりではなく、第二波、第三波が続く可能性が指摘されています。資材が入らず、受注を止める会社も出ています。この状況で、施主さまに何をどう伝えるか。そして、値上げを口実に失注しないために何をしておくか。実務の視点でお伝えします。
今回の値上げは、一度で終わらない可能性があります
2026年に入ってからの塗料の値上げについて、業界では第一波に過ぎないという見方が出ています。数ヶ月後に追加の値上げが発表される兆しがある、という指摘です。実際に、資材が入らず受注を止めている会社も出ています。
つまり社長にとっては、今の見積が数ヶ月後には通用しなくなる可能性があるということです。ここを見誤ると、赤字で受けることになります。
本記事は2026年8月時点の業界動向にもとづく整理です。具体的な値上げ幅や時期は、必ず取引先のメーカー・商社から届く正式な通知でご確認ください。推測の数字を施主さまに伝えないことが大切です。
施主さまに伝えるときの3つの原則
1. 値上げの理由は「原材料」まで下ろして話す
「メーカーが上げたので」だけだと、施主さまには他人事に聞こえます。塗料の原料が石油由来であること、その原料の価格が上がっていること。ここまで話すと、社長の都合ではなく世の中の話だと伝わります。
2. 待つとどうなるかを、正直に伝える
「今すぐ契約しないと損しますよ」は煽りになります。そうではなく、事実だけ伝えます。今後さらに上がる見通しがあること。ただし塗り替えの時期が来ていない家なら、無理に急ぐ必要はないこと。正直に言う会社が、結果的に選ばれます。
3. 安くする方法も一緒に出す
値上げの話だけして終わると、施主さまは他社を探します。同時に選択肢を出します。塗料のグレードを1つ下げる場合の差額、外壁と屋根を同時にやる場合の足場代の節約、施工時期をずらす場合の調整。選択肢がある提案は、値上げの話でも前に進みます。
やってはいけない値上げの吸収の仕方
値上げ分を飲み込もうとして、工程を削る会社が出ます。3回塗るところを2回にする、下地の処理を省く。これは短期的には利益が残っても、数年後にクレームになって戻ってきます。
そして今、施主さまの側もこの情報を持っています。「値上げを吸収するために手抜きする業者に注意」という記事が、施主向けメディアにも出ています。つまり、正直に値上げを説明する方が信用される状況になっているということです。
値上げ局面でやっておくべき2つの準備
1. 見積書に有効期限を入れる
「本見積の有効期限は発行から◯日」と明記します。当たり前のようで、入っていない見積書は多いです。これがないと、半年前の金額で施工を求められます。
2. 値上げの説明資料を1枚作っておく
毎回口頭で説明すると、伝わり方にばらつきが出ます。原料が上がっている理由と、御社の対応方針を1枚にまとめておけば、見積書に添えるだけで済みます。
まとめ
- 今回の値上げは第一波の可能性。追加の値上げに備えて見積の有効期限を明記する
- 理由は原材料まで下ろして説明する。メーカーが上げたから、では伝わらない
- 煽らない。ただし待つとどうなるかは事実として伝える
- 値上げの話と一緒に、選べる選択肢を出す
- 工程を削って吸収しない。今は正直な会社が信用される局面
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